振り返れば2017年の後半はスマートスピーカーの話題が豊富だった。IoTデバイスやスマートホームを中心に、今後エレクトロニクス機器は音インタフェースで操作する時代が到来するといわれているが、筆者も色々なスマートスピーカーや対応機器を使ってみて、まだ良いところと不十分なところが混在していると感じている。
わが家の「Echo Dot」で試してみた。ついでにサイズ感も比較
やっぱりスマート家電の操作はスマホアプリの方が便利だ。できればそこに音声による操作を“ちょい足し”できたら互いを補完できてベストではないか……と思っていたら、それを実現した「スマート家電コントローラ」(REX-WFIREX2)という商品がラトックシステムから発売されていた。本連載2017年の締めくくりとして、今回はスマート家電コントローラの体当たりレポートをお届けしたい。
●家電を赤外線で操作。AV家電から白物まで幅広くカバー
スマート家電コントローラを宅内のネットワークに導入すると、赤外線(IR)通信で宅内の白物家電やAV機器をスマホアプリやスマートスピーカーを使ってコントロールできるようになる。スマホアプリはiOS 8.4以上/Android 4.4以上に対応し、宅外からのリモート操作も可能だ。
本機を使うための月額利用料金みたいなものも存在しない。またワイヤレススピーカーやBlu-ray Discレコーダー、NASなどをホームネットワークにセットアップした経験がある人なら、ラトックのスマート家電コントローラを中心としたスマートホーム環境を自力で構築できるだろう。つまり本機とスマホがあれば、ローコストでスマートホーム環境のDIY(Do It Yourself)を楽しめる。
赤外線のため対応機器は幅広い。テレビにBDレコーダー、エアコン、照明器具、オーディオやホームシアターシステムなど12カテゴリーに渡り200機種以上の製品をリモコン操作することができる。またスマート家電コントローラー自身には温度と湿度、照度を検知するセンサーが内蔵されているので、例えば室温が設定した温度を上回ったり、あるいは下回った場合、スマホにアラートを飛ばす機能もある。例えばお留守番中のペットがいる場合、アラートを頼りにエアコンをリモコン操作するといった使い形ができるだろう。
ユニークな機能の1つに「オリジナルリモコン作成」がある。スマホの1画面に複数機器の頻繁に使うメニューを切り取って、より使いやすくなるように“おまとめ”できるというもの。
もう1つは複数の家電機器の操作を、連続するアクションとしてひとまとめにできるマクロ作成だ。例えば「帰宅した時にシーリングライトとテレビをまとめてオンにしてくれるボタンがあれば良いのに」という願いをかなえてくれる。ほかにもタイマー機能を使えば目覚まし時計の代わりに指定した時間にテレビをオンにしたり、起床とともにシーリングライトを点灯するといったことも可能。ユーザーが使いやすくカスタマイズしたリモコンの操作データを書き出し、他のスマホでも使えるといった実用的な機能も備えている。
●セットアップは驚くほど簡単
スマート家電コントローラのセットアップは拍子抜けするぐらいに簡単だった。今回はiPhoneで試してみよう。
まずはApp Storeから無料の「スマート家電コントローラ」アプリをiPhoneにインストールする。アプリを起動して最初にやるべきことは「家電リモコンの追加」だ。一覧に表示される機器からREX-WFIREX2を選択して、ホームネットワークに仲間入りさせる。WPS接続が使えるので複雑な操作は不要だが、手動で入力してもいい。気を付けるべきことがあるとすれば、スマホとスマート家電コントローラを同一のWi-Fiルータに接続することぐらいだ。
ホームネットワークへの接続が完了すると、リモコンの画面の下に温度、湿度、照度の現在値が表示される。更新アイコンをタップすると宅外、宅内のどちらにいてもそれぞれの項目についてわが家のコンディションが一目で分かる。
続いて家電リモコンに操作したい機器を追加していく。例えば「TV/セットトップボックス」を選択するとパナソニックやソニー、東芝、シャープなどメーカー名が一覧にずらりと並ぶ。メーカーを選択すると、次に「○○シリーズ」のようにスマート家電コントローラが赤外線によるリモコン操作をサポートしている商品の型番が出てくる。テスト信号を送信して機器が正常に動作すればセットアップ完了だ。
筆者宅の場合、同じ手順でソニー製のテレビとBDレコーダー、パナソニック製のシーリングライト、ダイソンの「ピュア クール リンク」(アプリには扇風機として登録されている)、ダイキンのエアコンをスマート家電コントローラで操作できるように設定した。異なるメーカーの製品であっても本機を通じてスマホやタブレットから操作を一元管理できるようになるのがワクワク感を誘う。
●Alexa搭載のスマートスピーカーから音声で操作する
もう1つのスマート家電コントローラの注目すべきハイライトは、Amazon Alexaを搭載するスマートスピーカーと連携して、一部の家電機器が音声でも操作できるようになることだ。こちらも試してみた。
1つの家電リモコンで操作できるのはテレビとエアコンが各1台、照明が2台まで。Amazon Alexaアプリでスマート家電コントローラのスキル登録が必要になること以外、こちらも何ら複雑な設定操作を必要としない。セットアップが完了すると、家電リモコンに登録したアイコンに小さな「A」と描かれたアイコンが追加される。あとはスマートスピーカーに向かって「Alexa、家電リモコンを使ってテレビをつけて」「Alexa、家電リモコンを使って冷房を28度にして」といった具合に音声コマンドを話しかければいい。多少気分屋なところもあるが、コマンドに対して、概ねキビキビと反応してくれた。
宅外からの操作設定も難しいことはない。家電リモコンのメニューから「家外設定」を選び、メニューから「家外での使用を有効にする」をオンにするだけでいい。設定箇所はここだけだ。帰宅する直前に宅外からエアコンやシーリングライトを点灯しておきたい時などに便利だった。
あるいは帰宅した時にシーリングライトとテレビも一緒に点灯するマクロを作っておくのもいい。登録したマクロは家電リモコンのトップ画面に表示されるので、素早く呼び出せる。あとはスマート家電コントローラで作成したマクロをSiriやGoogleアシスタントから音声で呼び出すこともできるようになれば最強だ。「Apple Watch」ユーザーとしてはスマートウォッチからも手軽に操作できるようになってほしいと思う。
今回紹介したスマート家電コントローラがあれば、最先端のスマート家電をこれから焦って買いそろえる必要は取りあえずなさそうだ。スマホアプリをちょっと使いこなせれば、予備知識なしで誰でも、今所有している家電機器を中心にスマートホームを手軽に体験できる。しかも今回紹介したREX-WFIREX2の価格は8000円(税別)と非常にお手頃。冬休みに本機でスマートホームのDIYを楽しんでみてはいかがだろうか。